声を大にして言いたいのだが、精神疾患の患者さんたちの、悲観的な考えや、感情の振れ幅の大きいこと、パニック、希死念慮、妄想などは、病気の症状であって、人格を規定するものではない。

この偏見のため、患者さんたちは他者から、良かれと思っての様々な非難や役に立たない忠告を受ける。そのことで当事者がどんなに傷つき、自信を喪失するかを思いやって欲しい。

うちに新規のクライエントが訪れる度に、「今まで誰にも理解してもらえませんでした」「医者にまで、感謝の気持ちが足りないとか、甘えているとか言って叱られる」などという言葉を聞くと、実にやりきれない思いがする。これほどメンタルヘルスの重要性が叫ばれているにも関わらず、正しい知識は浸透していない。人によっては医師ですら患者さんに対する接し方にわきまえがないのはどうしたものか。

癌や心臓疾患の人に、誰がそんなことを言うだろうか?何故心の病ばかりが偏見を持たれ、非難されるのか?年若くして病を得て、人生の華やかな時を楽しむことのできない悲しみや無念を想像してみて欲しい。

最早日本では、精神疾患の罹患経験者は5人に1人と言われる。潜在数を入れればこんなものではないだろう。心を病む人は既にマイノリティーではない。誰もがかかり得る病気だ。我が事として考えて欲しい。

11月から、日本イーブンハート協会主催「まちなかメンタルサポーター養成講座」の第三期を開講する。精神病理のこと、円満なコミニュケーションの在り方、カウンセリングマインドなど、多くの人に知って頂き、精神疾患の予防と共に、病める人を職場や地域社会全体で支える、相互扶助の精神を根付かせたいと、強く願っている。

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落合美沙

落合美沙

代表理事一般社団法人日本イーブンハート協会
一般社団法人日本イーブンハート協会 代表理事 イーブンハートスクール校長 心理カウンセラー、フィトセラピスト、アートセラピスト イベントプロデューサー