午前午後、まちサポ、カウンセリング基礎、傾聴の章。

単に話された言葉を聞くのではなく、その背景にある気持ちや、話し手の人間性そのものを「聴く」。人は「気持ちをわかられたい」生き物だ。抱えている問題は、当事者が自発的に解決するより他ない。また大人になってからの悩み事は、複雑で短期に解決できるようなものではなく、長きに渡って付き合っていかなくてはならないものが多い。問題がなくなれば良い、ということではなく、問題があっても大丈夫なように、持ち重りせずに程よい距離をとって付き合っていくことが必要だ。他者に気持ちを理解され、孤独にならないように支えられることで、問題と向き合う勇気が湧く。そうした援助をすることが心理療法の意義だ。

ビジネスにおいても、「アクティブリスニング」という呼び方で、傾聴訓練が行われるようになってきた。顧客に対して、言葉の奥にある本当のニーズを汲み取ったり、部下の言えずに悩んでいる気持ちに気づき、問題を早期に発見して解決するためにも、「正しく、深く聴く」必要がある。

人は往々にして自分のフィルターを通して、自分の聞きたいように聞いている。そうした聞き手主体の聞き方から、自分フィルターを外して、話し手の主体性を尊重してついていく「聴き方」をするのは案外難しく、練習が必要だ。

心理療法においても、様々な技法を用いても、クライエントを信頼し、尊重する援助の在り方は、やはり傾聴に始まり、傾聴に終わる。

まちサポを教えながら、私自身もまた原点に立ち返る。その度に尊敬してやまない亡き恩師の声が耳にこだまする。良いメンターを得たことが、今の私を作っている。天を仰いで問いかける、私はいつの日か、師を超えることができるだろうかと。

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落合美沙

落合美沙

代表理事一般社団法人日本イーブンハート協会
一般社団法人日本イーブンハート協会 代表理事 イーブンハートスクール校長 心理カウンセラー、フィトセラピスト、アートセラピスト イベントプロデューサー