大昔のこと、夜間の大学生時代に医療機関で働いていたのだが、研修中、看護師長が「大抵の病気はストレスが原因、つまりネクラは何かにつけて損ってことよ!」とのたまった。
これはえらく乱暴な言い様だ。ネガティブな考え方がストレスを生み、体の不調を引き起こすのは、確かに間違いじゃないけれど、誰だって好きでネクラをやる訳じゃない。悩み易い、デリケートな性格は、先天的な脳の代謝のせいもある。「明るくなれ」とか「元気を出せ」とか言われても、簡単になれるもんなら苦労はしない。それにこういう人は概ね真面目で優しくて好い人だ。今だから言えるが、この師長は確かに明るく豪快ではあったが、大雑把で人の気持ちに頓着しないところがあって、何かと迷惑したものだ。
しかし、デリケートな人がストレスを溜めて病気になるのは得なことではない。不元気な人でもストレスを溜めないための考え方をご紹介したい。少しはお役に立つだろうか?
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① 誰かが気を悪くするのはあなたのせいじゃない。感情は生理現象、他人のお腹を空かせたり、トイレに行きたくさせるなんて無理なのと同じ。人のご機嫌をどうにかするのは不可能だ。
② 生理現象だから、相手には怒る自由もあるので、その自由を保障してあげればいい。トイレに行く自由と同じ。またあなたも落ち込んだり悲しんだりする自由がある。人がやたらと「元気を出しなさいよ!」と言うのは、その人が落ち込んだあなたを見たくないだけだ。落ち込む時は、生理現象に従って、心ゆくまで落ち込んでもいい。
③ 良いことも嫌なことも、人からの言葉は情報だ。だから、自分の成長に役に立つ情報は受け取って、自分を弱らせるような役に立たない情報は捨てればいい。良くも悪くも、情報をくれてありがとう、でも使うかどうかはあなた自身が決めればいい。
④ アサーション権、という言葉がある。気持ちや要求を伝える権利は、生きる権利に等しい。憲法にいう基本的人権に基づく、何人たりとも犯されざる権利だ。伝え方の工夫はいくらでもできる。アサーショントレーニングが役に立つが、一つコツをお伝えすると、苦情は改善提案に。これがいやだ、という代わりに、こうすると良くなる、の形で伝えると楽になる。
⑤ 人はものを頼まれると、頼んだ人が好きになりやすい、という脳の特性がある。仲良くなりたかったら、無理のない程度の頼み事をするといい。ものを頼むのも、愛を与える行為だと知れば、一人で抱え込まずに人に助けを求められるのではないだろうか。
私も元来ネクラの方で、ネクラを仕事にしちゃったようなもんだが、この考えはそこそこ役に立った。我こそはネクラ、と自負されるお仲間がおられたら、宜しければ忌憚のないご意見を賜りたい。
落合美沙
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