愚痴カフェを開催してきて思うこと。

そもそも始まりは3年ほど前、あるコワーキングスペースで開催した、ネガティヴ交流会だった。

ポジティブポジティブ!元気で前向き!的な交流会が多くて、なんだか疲れちゃう、とふと思った妖怪の私。ヘタレる時には正直にヘタレたっていいじゃないか、人間だもん、そう思っている人、他にもいるんじゃないか、と開催したら、これが結構好評であった。

社会人はとかく人に弱みを見せにくい。あんまり愚痴ると迷惑がられるからなあ、との遠慮もある。でも正直な話、みんな生きていくのは大変なんだ。我慢してイッパイイッパイになる前に、安気に毒吐きできる場所も必要じゃないか。

それから1年後、働く精神障碍者の自助会「雇もれびの会」との共同事業で、エンパワーメントと居場所作りの試みとして、半年あまり、「愚痴カフェ」と名を変えて毎月開催した。沢山の出会いがあり、思いの丈愚痴ったら、却って明日への希望が見えてくる、と知った。しばらく諸事情から休会していたが、池下サロンで先月から再開した。今のところ、平日午前で主にママたちのための愚痴カフェだが、スケジュールを考慮して、他の日程を設け、いろいろな方に参加して頂けるようにしたい。

肝心なのは愚痴の落としどころだ。みんなで気持ちを分かち合い、ああ、大変なのは自分一人じゃない、と思えるようになること、また悩みをシェアし合うことで、参加者同士で解決策を見出せることもある。

そのためには、タブーを極力設けず、どんな愚痴も大切に扱われ、他者と比べない、評価を受けない、秘密の守られる、安全安心な場所にすることが必要だ。また場のファシリテーターは、正しい倫理観と愛情、問題解決志向を持ち、ユーモアを携えた、朗らかで親しみやすい人柄であることが望ましい。愚痴をこぼす場であっても、終了時に笑顔が出るような雰囲気作りには、ファシリテーターの人柄が大きく影響する。

ついでに、上手な愚痴吐きのコツ。誰かに聞いて欲しい時は「悪いけど、今大丈夫だったら、10分(15分?)だけ愚痴を聞いてくれない?聞いてくれるだけでいいんだわね」と切り出し、本当に約束通りの時間で話し終える。そして最後に「聞いてくれてありがとう!お陰ですっきりしたよ!あなたが愚痴りたくなったら、今度は私が聞くからね!」と感謝を伝える。また、なるべく一人の人に負担のかからないように、普段からちょっと肩を借りられる人を増やしておく。

ネガティヴな話題は、特定の人に長時間、というのが負担を掛けるもとだ。私たちのような訓練を受けたプロでもない限り、人のネガティヴな話を真剣に聞き続けるのは大変なことなのだ。

周りの人にちょっと付き合ってもらうのでは足りないような問題なら、思い切ってプロの手を借りよう。長く辛い時間を過ごすより、専門家の技術で早く問題解決した方が建設的だ。人生の時間は長くない。悩む時間も寿命のうちなのだから、早くすっきりしないともったいないではないか。

協会でも、愚痴カフェだけでなく、「ソクラテスの部屋」まちサポ研究会改め「心理学カフェ」など、気軽に訪ねて頂ける場も増やした。カウンセラーという人種に会ってみたい方、愚痴る場所や相手に事欠いておられる方、是非池下サロンをお訪ね下さい!

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落合美沙

落合美沙

代表理事一般社団法人日本イーブンハート協会
一般社団法人日本イーブンハート協会 代表理事 イーブンハートスクール校長 心理カウンセラー、フィトセラピスト、アートセラピスト イベントプロデューサー