チビちゃんが動き回る、ママたちの愚痴カフェ、アミちゃんのファシリテートで和やかな明るい場になった。

私がこの仕事でプロとして独立するきっかけは、ママたちが集まる場作りからだった。十代の頃から心理学の勉強はしてきたけれど、娘が産まれてすぐ、私じゃ良い親になれる自信がなかったから、みんなに育ててもらおう、そのための場が欲しいと、子育て支援のサークルを三つ同時期に立ち上げた。そのうち一つは、子育てサークルではなく、ママになっても勉強できる、大人同士の会話ができる場を目的に作った団体だ。ところが奇しくも様々な心の傷を持つママが集まったのを受けて、これは素人気分では大変なことになる、と痛感し、多くの教育機関で勉強し直し、本格的にカウンセリングを請け負うようになった。

今、アミちゃんのお陰で、再び親子さんと触れ合うことになり、私も初心に帰ることができた。母と呼ばれる私たちも、かつては誰かの娘だった。子育てを通して、自分の子ども時代を振り返る人も多いことだろう。子どもとの関係を見直す時に、自分と親との関係を考え、自分の中にある幼い心を癒し、育て直すことも可能だ。私も娘との暮らしで、どんなに自分の育ちの中の不足分を補えたか知れない。

また一方では、ここ数年講座中心であったのが、最近になってかなり重篤な個別相談のケースが増えた。昨今の世の中の生きにくさを痛感すると共に、私は何故か独立直後の若い頃から、人格障害、希死念慮の強い方や、問題行動が多く他では断わられた方、長病みで苦しんで来られた方のような重いケースを請け負うことが多く、最近のケースもまた、初心に帰れという天の声のような気がしてならない。

一般的に民間のカウンセラーは、精神病域のクライエントは取らない。それは医療機関ではないことや、民間の教育では病理の知識や対応の方法を十分教えられていないせいだが、それでは本当に心理療法を必要とする人に援助が届かない。私は幸運にも、特に病理に長けた複数のスーパーバイザーの指導を受けることができたので、病域にも対応できているのだ。

うちのカウンセラー・アートセラピスト養成講座では、病理研究と対応にかなり力を入れている。一時凌ぎのクイックマッサージ的なセラピーではなく、医療機関と協力しながら、本物の問題解決、行動変容、完全寛解を目指す援助ができるプロを育てたい。うちは教育期間も長く学ぶ姿勢には厳しいが、病名がついたクライエントを断るようなアマチュアにはなって欲しくない。

心理療法は人生そのものを扱う仕事だ。こちらも人生を傾けて、絶えず学び続ける覚悟がなければ、クライエントの前に立つ資格はない。

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落合美沙

落合美沙

代表理事一般社団法人日本イーブンハート協会
一般社団法人日本イーブンハート協会 代表理事 イーブンハートスクール校長 心理カウンセラー、フィトセラピスト、アートセラピスト イベントプロデューサー