喫茶ブルーツリーにて、午前中は交流分析基礎講座の最終回、午後はエンデのモモに読む生き方講座。

「モモ」では「時間貯蓄銀行」を唱う「灰色の男たち」がいよいよ登場。時間の無駄をなくしてそれを貯蓄しよう、というおかしな論理に、登場人物が巻き込まれていく。時間の貯蓄なんかできるわけがない。一見無駄なような暮らしの中の些細な営みこそ、「生きること」そのものだ。

効率的であることばかりが合理性だというとんでもない誤解に、現代人はみな振り回されて人生をつまらなくしている。それが人生の質を落とし、世の中を腐らせていく。「モモ」の書かれた時代に、エンデは既にそのことへの警鐘を鳴らしている。今や便利で効率的になった社会で、人は時間の貯蓄なんかできただろうか?人生は豊かになっただろうか?

効率化の図られた週5日の労働に縛られ、休日にそれ以外の予定を詰め込む。物やレジャーなど消費が幸せの象徴となる。高い車を買い、マイホームのローンに追われ…それが豊かな人生だろうか?命そのものである時間を巨大資本に売り渡して、その対価を巨大資本への消費に回す。そうして貯蓄した時間は誰を幸せにしただろうか?

今一度、人生の質は何によって決まるのか、私たちの誰もが考えねばならない時に来ているのではないか?他者との絆なくしては、私たちは本当の幸せは得られない。人との繋がりとは、一見無駄で非効率な、面倒なことの中にこそ、本物の輝きが存在するものではないだろうか?

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落合美沙

落合美沙

代表理事一般社団法人日本イーブンハート協会
一般社団法人日本イーブンハート協会 代表理事 イーブンハートスクール校長 心理カウンセラー、フィトセラピスト、アートセラピスト イベントプロデューサー