NHKスペシャルで発達障がいの特集を見た。先日会ったプレスの方も、もしかしてそうかも、と思う。学歴の高い人や要職に就いている人の中にも、結構大勢おられるのではないだろうか?発達に特徴のある人は、ある分野では高い能力を発揮する。それが職業適性とマッチすると、成功を収めることも少なくない。ビル・ゲイツのように世界を大きく動かすこともある。
発達障がい者が増えているのは、ある意味社会のニーズに合わせた進化の過程なのではないかと思った。他者との絆や共感をあまり必要としない、ASDの傾向のある新人類がマジョリティーになる日が来たら、私たちのような旧人類が、将来社会に適応しにくくなる可能性もあるのではなかろうか?
コミュニケーションの取りづらいお互いの性質の中で、どう折り合いをつけて生きていくか、どちらを障がいと見るか、難しい問題だ。
実例を挙げると、清掃の仕事に就いておられる発達凸凹の方が、外部の来客に配慮なく掃除に没頭することで、来客からのクレームになる。そのクレームが外注元から清掃会社に届く。清掃会社の社長がその従業員の特性に配慮し、クレームの責任を従業員には不問として、会社がその責任を肩代わりする。それは現実にあったことなのだが、果たしてこれが正しい判断なのかどうか?
では「来客への配慮」という、具体的な指示の出しにくいことを、発達凸凹の人にどう伝えたら、双方にとっての問題解決になるのだろうか?
礼儀、相手の感情を理解すること、他者配慮、協力など、一つ一つ具体的に言葉にしにくいニュアンスを持つ内容を、どう共有するべきか?
時代が変化するということは、従来の暗黙のルールの中で社会適応してきた人の方が、それでは済まなくなるということだ。ストレスや生きにくさを感じることもあるだろう。会社などの業務の中で実際に起きる問題を、どう解決すれば良いのか?新たな課題を、様々な特徴を持つ人と、同じ土俵で考えていかねばならない。
コミュニケーションやこころの問題を生業とする私たちも、そもそもコミュニケーションとは何か、果たして人間は社会性の動物としてこれから先も生きていくのだろうか、という定義から新たに考え直さねばならない時代が、いずれ訪れるような気がしている。
落合美沙
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